笑い滴る 春と夏の日本画名品選
会期
2026.02.25〜2026.05.31
展示室
5、6

1912年(明治45)年頃
後期展示
2026年2月25日(水)~ 2026年5月31日(日)
前期 2026年2月25日(水)~4月12日(日)
後期 2026年4月14日(火)~5月31日(日)
*前期・後期で一部展示替えがございます。
当館の建つ場所にはもともと創立者 松岡清次郎が住んでいた日本家屋が建っていました。清次郎の日々の愉しみの一つが、自邸の庭や隣接する自然教育園に季節の鳥が飛来する様子や草木の変化をゆったり眺めることでした。
本展では、当館の日本画コレクションから、日常的に自然風景を愛でた清次郎が独自の審美眼を頼りに蒐集した、春の穏やかで情緒漂う空気や夏のみずみずしさ溢れる雰囲気を湛えた絵画の名品を展観し、季節ならではの自然の美をご体感いただきます。
【展示構成】
山笑う、山滴るという俳句の季語があります。これは北宋の画家郭熙(かくき)の「山水訓」にある「春山淡冶(たんや)にして笑ふがごとく、夏山蒼翠にして滴るが如し。(春の山は花々で淡く色づき、微笑んでいるようである、夏の山は草木が青々と茂り、緑が滴っているようである)」に拠るとされます。本展ではこの言葉を引用し「笑い滴る」と銘打ち、春の淡く色づく自然や夏のみずみずしさ溢れる情景を描いた日本画の名品を展観いたします。
春のパートでは、淡く耽美的な雰囲気が漂う池田蕉園《桜舟》をはじめ、横山大観《梅花》、上村松園《春宵》といった当館の日本画コレクションを代表する名品、伊藤小坡《ほととぎす》、鏑木清方《春の海》といった美人画の大家による作品、酒井抱一《菖蒲に鷭》、前田青邨《紅白梅》、堀文子《牡丹之図》など江戸から昭和の作家による春の花鳥画を出陳し、子規の句の如く “どちらを見ても山笑ふ” ような展示空間で春を感じていただきます。
夏のパートでは川端龍子や小林古径が描いた朝顔や、渡辺崋山《蓮池蜻蛉図》、鏑木清方《蛍》、小林古径《茄子》、山口蓬春《山湖》などを展観し、日本画を通じて夏の風物詩を愉しんでいただければと思います。